アパート経営とは
アパート経営
アパートを購入して入居者から賃貸収入を得ることをアパート経営といいます。基本的に入居者の募集から、その後の家賃回収、建物の維持管理まで全て不動産業者に任せるため、オーナーが自分ですることはありません。もちろん不動産業者に任せずに、自分で行えばコスト削減にはなりますが、多くの場合アパート経営は副業として行う人が多く自分で募集や管理を行うことは難しいため、業者に任せることがほとんどです。何もしなくても家賃収入が毎月入ってくる夢のような事業です。私も常日頃からいつかはアパートを所有したいと思っています。本記事ではアパート経営について銀行員の目線から解説していきたいと思います。
アパートとは
世間一般でアパートとは木造や鉄骨造の2階や3階建てのものを指すように思いますが、銀行でアパートと言えば賃貸を目的とした一棟の集合住宅のこと全般を言います。2階建ての木造アパートから、鉄筋コンクリート造の10階建て以上の物件まで全部アパートです。
これと区別して賃貸を目的として分譲マンションを買う(建物まるごとではなく、全体のうち1戸や複数戸を買う)ことはマンション投資といいます。
アパート経営のプレイヤー
アパート経営者は誰でもなることが出来ますが、以下の3つのプレイヤー大別することが出来ます。
- 地主
- 事業で成功を納めた事業主(経営者)や法人
- サラリーマン
1の地主は所有している土地の有効活用のためアパートを建設するものです。土地は自前のため建設費のみで済むため、初期投資が低く抑えられます。また更地よりも建物がある方が土地の評価額を抑えることができるため将来の相続税対策のため建設するケースもあります。
2は事業で蓄えた資金を元手にアパートを取得するものです。新築にしろ中古の購入にしろ土地代金も必要となるためそれなりの元手が必要となります。逆に言えば、資本効率の観点から一定の蓄え(内部留保)を有効に活用するためアパート経営を選択するケースが多いように思います。
3は会社などに勤めながら、アパートを経営する人です。2に同じく土地代金が必要となる上、そもそもの蓄えが少ないため、ハードルは若干高くなります。しかし、少なからずアパート経営者になれる人は存在しますし、私も目指すところです。
どんなアパートが良いのか
立地が重要
アパートを取得するにあたり、最も重要と考えられるのは立地です。需要の高い場所に立地していなければ入居者が付きませんし、入居がなければ家賃を下げざるを得ず収益性が悪くなります。
また、アパート経営は数十年にわたる長期の事業であるため、将来的にも需要が見込まれる立地でなければなりません。今後人口が減少することが見込まれる町のアパートは厳しい経営を余儀なくされると言わざるを得ません。
そうなるとやはり市街地の駅から徒歩圏内であることが一番重要となります。将来的な売却や跡地利用を考えた時も、土地の価値が低い場所では難しくなることもあります。
ファミリー向けか単身者向けか
入居者のターゲットはファミリーか単身者に分かれます。
ファミリー向け物件は一度入居すれば比較的長い間住むケースが多いため空室リスクを低減できます。空室が発生すると、その期間は家賃が入ってきませんし、入居者が決まれば入居者を決めてくれた不動産仲介業者に手数料を支払わなければならずコストがかかります。その点でファミリー向けの方が有利と考えられます。
ただし学生街や市街地の中心部等、単身者向けの需要が高い場所ではその限りではありません。
新築か中古か
新築と中古のどちらが良いかは一概に言えません。
当たり前の話ですが、同じ立地で同じような建物であれば中古よりも新築の方が価格は高くなります。建物には寿命があります。税務上の話なので実際に建物が収益を生む期間とイコールではありませんが、法定耐用年数は鉄筋コンクリートで47年、木造で22年です。中古の購入であれば法定耐用年数を一つの目安として投資した資金を回収できるかを検討することがベターです。
お宝物件は存在する?
なるべく安く買いたいと思うのは人情だと思います。が、お宝物件に巡り合う可能性は極めて低いと言わざるを得ません。アパート経営は様々なプレイヤーが日々物件を探しています。アパートの売り手としてもなるべく高い価格で売りたいのは当然です。買い手と売り手の間に立つ不動産業者も百戦錬磨であるが故、立地・構造・築年数・収入から算出しおおよそ市場価格での売買となります。
なお、割安物件があるとすれば、なんらかの事情で入居率が極めて低い物件(事故物件など)が挙げられます。なにがしかのテコ入れで入居率改善できるならば割安に購入できる可能性はあります。
または一般に売りに出る前に売主に直接アプローチができれば市場価格を下回る価格で購入できるかもしれません。
アパート経営の収益性とリスクについて
アパート経営はおいしいビジネスか?
アパート経営は何もしなくても家賃が入ってくる夢のような話ですが、実際には多額の初期投資がかかります。投資した資金の元本を回収するには新築なら20~30年はかかります。これは投資回収の期間としては長い方と言えます。であるならば他の投資対象に資金を振り向けた方が資金効率が良い可能性があります。
ただ資金を回収した後も入居者がつかなくなるまで毎月寝てても家賃が入ってきますし、建物が古くなり入居者がいなくなったとしても土地が残ります。また不動産を所有しているという満足感は一定程度あると思いますし、ステータスとしても悪くないと思います。
アパート経営のリスク
投資にリスクはつきものです。
全額自己資金でアパート投資をするならばいいのですが、9割以上のアパート投資は大部分を借入で行います。毎月借入金の返済があるわけで、入居率が低下すれば毎月の家賃で返済を賄えなくなる可能性があり、そうなれば蓄えを取り崩して返済に充てることになります。それでも足りなければ返済が滞ることとなります。
また超長期の借入であるため金利上昇リスクがあります。2023年11月現在借入の金利は低水準ですが、10年、20年と経過していけば金利が上昇する可能性は大いにあります。全期間固定を組むには長すぎる借入期間のため、一般的に固定期間は長くても10年となっています(10年固定はそれよりも短い期間の固定金利や変動金利に比べ高いので毎月返済額を少なくするため短い期間の金利を選ぶケースが多い)。金利は上がるときは上がりますし、避けられません。金利が上昇すれば毎月の返済額も増加するため、将来の金利上昇を見据え、一定の蓄えを用意することが重要です。
まとめ
アパート経営は誰でもできるがゆえに収益性はあまり高くありません。
それでも超長期の投資であるがために、時間を味方につけることができ、将来のための資産づくりをすることは意義のある投資だと思います。
リスクをよく理解し、アパート投資に挑戦してみるのはいかがでしょうか。
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